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第04回 16cm口径バックロードホーン型と、8cm口径バスレフ型の比較
前回は、16cm口径のFE168EΣを使ったバックロードホーン型スピーカー<S-004>と、市販の大型スピーカーを比較しました。
S-004 ※スピーカー図面は
こちら参照
今回は、フルレンジ対決ということで、8cm口径のFostex FE83E(※FE83NVの先代)を使ったスピーカー<S-009>と比べてみます。
<8cm口径フルレンジ搭載 バスレフ型スピーカー>
S-009は、FE83Eの標準箱に準じた設計になっています。
<S-009>
測定は、同じくWaveSpectraを使っていますが、今回は
ピンクノイズ信号を使用しています。
スイープ信号を使うか、ピンクノイズを使うか悩むところではありますが、個人的には低音域のSNが稼ぎやすいスイープ信号の方が個人の測定には適当なのではと思っています。スピーカー測定に関するノウハウは、どこかで改めて書こうと思います。
ピンクノイズ信号のループバック測定
<バスレフ型とバックロードホーン型の周波数特性の比較>
まずは、
スピーカーの軸上40cmという、比較的近距離で測定した結果を示します。
Fostex FE168EΣを搭載する<S-004>の周波数特性(軸上40cm)
Fostex FE83Eを搭載する<S-009>の周波数特性(軸上40cm)
バックロードホーン型のS-004は、バックロードホーン型らしい干渉に伴うディップ(凹)が、100~1kHz付近に見えます。低音は、90Hzのピークを最後に40Hz前後までダラ下がりの特性になっています。
一方で、バスレフ型のS-009は、80Hzにピークがあった後は、ストンと落ちています。低音の特性をより詳細にみると、80Hzのピークが大きい一方で、100~150Hz付近の音圧が下がっていることから、S-009やや箱の容量が大きすぎたとも言えます。とはいえ、小型フルレンジスピーカーなので、低音域にはこれぐらいの演出があった方が好ましく聴こえるかもしれません。
次は、リスニングポジション(スピーカーから約1.3m離れた所)での特性です。
Fostex FE168EΣを搭載する<S-004>の周波数特性(軸上約1.3cm)
Fostex FE83Eを搭載する<S-009>の周波数特性(軸上1.3m)
先ほどと比べて、両者とも100~200Hzの落ち込みが顕著になっています。バックロードホーン型のS-004は、200Hz前後のピーク(ホーン鳴き)が目立つ方向に。バスレフ型のS-009は、低音不足が目立ってきてしまいました。
70Hz以下の重低音域では、大型バックロードホーンの面目躍如といったところで、S-004が高い音圧で再生できていることがわかかります。これは定在波をより有利に使えたためなのか、大面積のホーン開口部からの低音放射が効いているのかは分かりませんが、測定結果として注目できると思います。
寸法の差が大きい2台ですが、バスレフ型が非常に効率の良い低音再生方式であることが、この周波数特性の比較から分かると思います。一方で、大面積のホーンによる聴感上のメリットはバックロードホーン型特有のものなので、特性が悪いからと言ってバックロードホーンを過度に敬遠する必要はないと思います。
~続く~
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