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第01回 Fostex FE168EΣ搭載バックロードSPの設計コンセプトと図面
バックロードホーン型スピーカーは、人気のある方式であり、私も過去に何回も愛用してきました。しかしながら、「癖のある音がする」という話を聞くことがあります。
この「癖のある音」とは何なのでしょうか。私が2007年に作製した<S-004>というスピーカーを例に見てみようと思います。
S-004
<設計図面>
こちらは、FostexのFE168EΣを使ったバックロードホーン箱です。
設計としてはこんな感じです。
S-004の設計図
複雑な取り回しになっていますが、一応ブックシェルフ型としての設計になっており、適当な高さの台座の上に乗せることを想定しています。
当初、FostexのFE126Eを使う<S-002>として設計されましたが、最終的には上下を反転させてFE168EΣを使う箱になりました。
<計算式によるバックロードホーン音道設計>
このホーンの音道は、こちらに示すような広がり方をします。ちなみに、空気室容量は約3Lです。
理想的なホーンであるエクスポネンシャル曲線に当てはめると、広がり率mは約0.4~0.6といったところでしょうか。広がり率mは、下記の式に該当します。
S = スロートからの距離がxの所のホーン断面積 (cm^2)
S0 = スロート断面積 (cm^2)
e = 2.718・・・ (自然対数の底)
m = 広がり率
x = スロートからの距離(m)
経験的には、広がり率が約0.8~1.0が低音量感を重視したバックロードホーンになるので、S-004の約0.4~0.6という値は、かなり広がり率を抑えた設計になります。
この広がり率mから、下記の式でホーンのカットオフ周波数fcを求めることができます。
カットオフ周波数 fc(Hz)=m×c/4π
m=広がり係数
c=音速(約340[m/s])
π=円周率(3.14)
グラフ中にも描きましたが、広がり率mは約0.4~0.6は、それぞれカットオフ周波数fc=10.8~16.2Hzになります。
エクスポネンシャルホーンは仮に理論通りに動作しても、低音下限域(カットオフ周波数fc付近)の音圧はダラ下がり特性になるので、実質的なカットオフ周波数はその2倍の約22~32Hzと考えてよいでしょう。
~続く~
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