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第13回 ホーン長はどのくらい必要か


 バックロードホーンのホーンの長さは、どれぐらい必要かについて、説明していこうと思います。


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計算で求める低音再生限界

 一般的には、ホーン長さにより低音の再生限界が決まると言われています。
ホーン長を A[m]とすると、再生限界はホーンの一次共振周波数を求める下記の式で表されます。

 一次共振周波数=340÷A÷4

 A=3.4mであれば、一次共振周波数は25Hz、
 A=1.7mであれば、一次共振周波数は50Hzです。

 本来ホーンは共鳴しないように設計されますが、現実のバックロードホーンのホーン開口面積は、理想とされる面積と比べて遥かに小さいため、ホーンは共鳴をします。
 このとき、片開口共鳴管(片方が解放、片方は行き止まりの管)として共鳴するため、ホーン長の4倍の長さに相当する音波の周波数(一次共振周波数)が強調されます。さらにその下の周波数は、後面開放型として動作するため、音圧は急速に低下します。

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3mを超えるホーンをもつバックロードホーンの音質

 長いホーンを持つ作例を調べてみると、3mを超える音道のバックロードホーンの場合、ゆったりとした低音になってしまい望ましくないと言われることがあります。

 <参考>新スピーカー設計[その5] - 趣味の小部屋


 実際に私も「S-013」という3.7mのホーン長をもつバックロードホーンを作ったことがあります。使用したユニットは、10cmフルレンジのFE103Eです。その音質について、下記のような記述がありました。

     FE103E搭載バックロードホーン S-013 正面写真  FE103E搭載バックロードホーン S-013 内部構造の写真

前例のない3.7mの長大な音道を持つバックロードなので、
低音域は独特なものがあります。

音速を340m/sとすると、低音は単純計算で10ms遅れることになります。
なお、共振周波数50Hzのバスレフ型は、(一波長遅れると考えると)20msの遅れです。

音道が2~3mの通常型バックロードでは、
低音は「ゴゴッ」や「ブンブン」と鳴るのに対し、

5管式バックロードは、
「フワッ」とか「ユラッ」と言った感じに、軽やかにソフトに鳴ります。
バスレフに近い鳴り方なのですが、軽々と低音が響くのはバックロードホーン譲りです。

さらに、通常型バックロードでは「ホーホー」「ボンボン」いう中低域の付帯音があるのですが、
音道3.7mの5管式バックロードホーンは、低域の癖が皆無なのです。
おそらく、管が長くなると共に付帯音の帯域も下がった(→気づきにくくなった)のだと思います。
5管式バックロード、完成! - 趣味の小部屋 ( オーディフィル 公式ブログ) (goo.ne.jp)

 音速が340mであり、3.7mのホーン長だと約0.1秒遅れて聞こえることになります。これがゆったりとした低音の原因ではないかと言われています。




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ホーン長違いの比較

 ここからは「S-041」というバックロードホーンについて紹介しようと思います。短いホーン長と長いホーン長の双方を聴くことができた数少ない作例ですので、次回以降から詳細に説明しようと思います。

     FE126E搭載バックロードホーン S-041 正面写真1 FE126E搭載バックロードホーン S-041 正面写真2


~続く~

   
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