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01.木材と音質

 オーディオには、多くの木材が使われています。スピーカーのエンクロージュアはもちろん、オーディオラックやヘッドフォン、さらには、インシュレーターなどの各種アクセサリー類もあるでしょう。

 木材を使う理由は、意匠性や加工性のほか、「音質」の観点があることは言うまでもありません。素材はそれぞれ固有の響きをもっており、それが音質に与える影響は小さくありません。

 ここでは、木材が音質に与える影響、そして実際に試聴した結果をもとに考えてみようと思います。


過去のレポート

 こうした観点からの議論は、既にweb上にもあります。まずはここで、代表的なページをいくつか紹介しようと思います。

【第112回】高橋敦の “オーディオ木材” 大全 ~ 音と木の関係をまるごと紹介
 Phile-webの連載記事「高橋敦のオーディオ絶対領域」の中の一つです。オーディオライターの高橋敦先生が、木材の概要から、最新オーディオ情勢までを交えて書いています。
 どちらかというと、市販オーディオを楽しむ方に向けての記事で、ヘッドフォンなどポータブル系に関する内容も豊富なのが特徴です。

木材と音、響きの研究
 「ステレオ (音楽之友社、1999年7月号)」の記事を元に、サイト「木の情報発信基地」に掲載されたものです。
 田中材木店店主 田中敏夫氏の解説は、様々な木材を俯瞰的に、かつ分かりやすいものとなっています。また、オルゴールを用いた試聴により、箱鳴りを想定した音質評価をしているほか、加工性の難易度、乾燥の状態についての言及もあるのが特徴となっています。

D.I.Y. 木材の特徴
 箱根寄木細工スピーカー製造元、高井工芸のwebサイトです。
 豊富なスピーカー作りと木工の経験をもとに、音色のほか、仕上げや加工性についても言及しています。

木材の種類と音質 思考のーと 007 カノン5Dの資料室
 私、カノン5Dが、自作スピーカー派に向けて作成したwebページ「カノン5Dの資料室」のうちの一つの記事です。
 各木材をインシュレーターとして試聴テストした結果をもとに、それぞれの傾向を述べました。試聴テストでは、クラシックのほか、アニソンやJ-POPSを用い、幅広いジャンルでの響きの不適を判断しているのが特徴です。


木材の「響き」とは?

 木材の「響き」には、主に三種類あると考えています。ここでは、スピーカーエンクロージュア(箱)の材料としての使用を主眼に説明していこうと思います。

1. 全体の振動による鳴り
 これは、「板としての強度」が低く、板自身が大きく曲がって起こる振動です。
 オーディオ界隈でも以前から注目されており、「箱鳴り」として総称されてきました。昨今のHiFiオーディオでは、メーカーは「モーダル解析」「レーザードップラー振動計」などを駆使し、より強固な箱を作ることで「箱鳴り」を抑えるトレンドとなっています。
 一方で、「箱鳴りは豊かな音を作るのに必須」という考え方もあります。あえて強度を低くした箱で、スピーカーユニットからの音以外の音を中低域に加え、豊かな鳴りっぷりを感じる音を作ることができます。

 いずれにしても、この【全体の振動による鳴り】は、素材としての硬さのほか、エンクロージュア構造(補強や板厚)に大きく左右される、のが特徴です。
 代表的な製品にキソアコースティックの「HB-1」というスピーカーがあります。使用している材料は、マホガニーという硬い広葉樹ですが、板厚を3.5mmと極めて薄くすることで、大きな箱鳴りを生み出しています。「HB-1」では、ギターの製作技術を元に、箱鳴りを巧みにコントロールしているのが特徴となっています。
キソアコースティック HB-1 キソアコースティック HB-1
https://www.kisoacoustic.co.jp/hb-1


2. 内部の伝達音
 これはインシュレーターによる音の違いをイメージすると分かりやすいかもしれません。
 インシュレーターは、本体が変形するような大きな振動は起こりませんが、確実に音を変えることができます。それには、素材内部の伝搬音の伝達特性(減衰・共振)が大きく関わってきます。

 この考え方が無いと、「箱鳴りを抑えることができる、コンクリート造りのスピーカー箱が最強!」という発想になりますが、残念ながら現実はそうではありません。
 現実には、コンクリートや、極厚のMDFも、それぞれ材料固有の伝達特性をもっており、それから逃れることはできません。

 つまり、この「内部の伝達音」の項目は、構造の如何に(殆ど)依存せず「その素材固有の音」と言えるものなのです。


3. 反射音の特性
 先の「内部の伝達音」に類似していますが、これは音波がある素材の平面で反射すると、素材固有の響きがつく、という考え方です。

 主にルームアコースティック(部屋の音響調整)界隈で語られる話ではありますが、スピーカー内面の仕上げで音が変わることもあり、決して無視できない項目だと思います。
 一方で、先の「板全体の振動による鳴き」や「内部の伝達音」との切り分け、さらには表面の細孔状態との切り分けは困難な側面があります。それゆえに、反射音の特性を単独で議論するのは難しいかもしれません。



試聴テスト(方法)、目次

 今回は、試聴テストをインシュレーターで行いました。
 理由は、先の『2. 内部の伝達音』に着目して評価するためです。補強などでは回避できない、素材固有の音に注目してみようと思います。

 試聴曲は、クラシックとアニソン、J-POPSの3ジャンルで行いました。試聴曲の内容はこんな感じです。

ジャンル 楽曲説明
クラシック 「ベートーヴェン交響曲第六番ヘ長調『田園』第一楽章」
スウィトナー指揮、 ベルリン・シュターツカペレ
(アルバム:DENONクラッシックス リマスタリング&HQCDサンプラー(HQCD盤))
J-POPS 「Beginner」 AKB48 (アルバム:ここにいたこと)
「Automatic」 宇多田ヒカル (アルバム:First Love [2014 Remastered Album])
アニソン 「冒険でしょでしょ?」 平野綾
「ノーポイッ!」 Petit Rabbit's(48kHz/24bit)
 

評価は「お気に入り度」として、★(普通)、★★(場合によっては良い)、★★★(なかなか良い)、★★★★(素晴らしい)の4段階とします。


試聴は、2012年と2015年に実施して、それらの評価を総合して得られた感想をここでは述べていきます。聴くたびに若干の印象のズレはありましたが、複数回聴いても変わらなかった印象を文章にしています。


なお、木材の響きは、あくまでもオーディオ装置の音質を決める一要因でしかありません。大切なのは、それをどう使いこなすかで、木材の響きだけで最終音質が決まるわけではありません。
また、言うまでもなく試聴感想は個人の感想です。人が変われば評価が大逆転!なんてことも十分にあり得ます。耳の形、音の聴こえ方は人それぞれです。


それでは、29種類の木材をドーンと紹介します!
(掲載はアイウエオ順です)



ウォルナット(ブラックウォールナット)

~お気に入り度~ ★★~★★★
クラシック:
細やかで、中域は滑らか。情報量や存在感があり、好ましい。また、上品さがあるためクラシックに好適だろう。
J-POPS:
高音は出るが、パーカッションが湿っぽい。中域が弱く、ボーカルが精彩を欠いている。レンジ感、低音、繊細さは良い。
アニソン:
細やかでストリングスの美しさがある。ただ、どこか音が硬い。キメは細かいが、つかみどころがないようにも感じる。

※ウォルナットは、評価ごとに印象が安定しません。様々な種類があるのかもしれません。



SPF(エスピーエフ、※スプールス、パイン、ファーの総称

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
弦の表情が良く見える。テンポもゆっくり感じられ好ましい。ややステージの音数が少ないか。
J-POPS:
ナローで弱々しい。低域が弱くビートを刻めない。
アニソン:
薄く、ハイが強い。曲の雰囲気には会うが、情報は多くない。ただ、変な癖はない。



MDF(エムディーエフ)

~お気に入り度~ ★
クラシック:
バイオリンの音が単調で、美しさを感じにくい。音の色彩感は少ないが、バランスとしては悪くない。
J-POPS:
ドンシャリ。パーカッションの鳴りは良いが、質感やクオリティは感じにくい。低音は出ているが、情報は少ない。
アニソン:
音数が明らかに少ない。低音は比較的良いが、中高域に美しさはなく、平坦で単調。



OSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)

~お気に入り度~ ★
クラシック:
全体的に情報量に乏しい。単調ではあるが、バランスは良好。
J-POPS:
音数は多い。しかし、単調で低音のキレ味も不足。
アニソン:
音数はラワン合板より多いが、音色が単調で安っぽい。



オーク(ホワイトオーク)

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
穏やかな表現。伸びやかさがあるのは良いが、レンジは広くはない。低音にモヤつきを感じる。
J-POPS:
意外とドンシャリ。リズムを刻むハイに強さがあるが、質感は今一つ。低音は強め。声は良く出るが、表現力に欠ける。
アニソン:
低音があり、かなりのピラミッドバランス。高音がロールオフするも、癖が少ないためか比較的聴きやすい。ボーカルの説得力はもう一息欲しい。



カバ桜(マカバ、バーチ)

~お気に入り度~ ★★★
クラシック:
まとまり感がある。楽音は明確だが、ナローレンジ。やや重心が高いようにも感じる。
J-POPS:
ボーカルがリアル。音全体が澄んでいて、音場が深い。
アニソン:
ボーカルの元気さがあり、好ましい。音場は狭い。



カリン(花梨、インドシタン)

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
かなり穏やかな音。高域はナローで、音楽を全体で聴かせる。まったりしている。
J-POPS:
低音の彫は深く、背景楽器の音色感を引き出す。情報は水準レベル。
アニソン:
悪くは無いものの、淡々としている。曲のイメージと違う音が出てきた。



クルミ(胡桃、オニグルミ)

~お気に入り度~ ★
クラシック:
落ち着いたバランスで伸びやかだが、中域からのロールオフが強い。カーテン越しのような質感だ。
J-POPS:
低音のグリップ感、クリアさは良い。ハイもすんなり伸びているように感じる。ただ、ボーカルが薄く残念。もう一歩踏み込んだ表現があると好みだ。
アニソン:
角が取れた柔らかいサウンド。癖などなく、バランスは良いが情報は少ない。サ行が強調されて聞こえる。



ケヤキ(欅)

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
弦のコシ、存在感があり、落ち着きのある説得力を感じる。レンジはやや狭いが、ピラミッドバランスと考えれば問題ない範囲か。
J-POPS:
ボーカルの表現は厚め。低音はややモサッとしているが、立体感があり雄大な表現。リズムが遅く感じ、落ち着いた感じが全面に出る。
アニソン:
ピラミッドバランスで、やや大人びた雰囲気。モサッとした感じだが、情報はある。やや出切らないが、存在感はある。



黒檀

~お気に入り度~ ★★★
クラシック:
音像は明確。音楽のパートを描き分け、スコアが見えるようだ。
J-POPS:
重心は低いが、やや大人しい感じ。
アニソン:
情報量が多く、発声が如実に描かれる。音場は広い。サ行も素直だが、ややつまらない感じを覚える。



ゴム

~お気に入り度~ ★
クラシック:
癖が少なく、奥行表現が豊か。変な癖が乗らないが、音の表現力は水準レベル。
J-POPS:
重心が高く、平面的で軽い。音が潰れる。
アニソン:
バランスは良いが、音場が平面的。音が分離せず、聴き疲れする。



シナアピトン合板

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
柔らか味があり好ましい。柔らかい材料の「シナ」が効いているようだ。
J-POPS:
ボーカルの分解能は高いが、押し出し感はかなり弱い。
アニソン:
合板特有の篭り感はあるものの、ノリの良さが感じられる。音場は広く、サ行も極めて自然。

※試聴は縦目で実施。積層が横になるようにすると、大幅に籠る。


タモ

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
ナローレンジな響き。音像は前に来るので、ふんわりと包み込まれる感じ。
J-POPS:
スケール感があり、曲の意図に近い表現。分解能は水準。
アニソン:
落ち着いた響き。音場は広いが、派手さは控えめ。



チェリー(ブラックチェリー)

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
レンジは狭い。その分、弦の中域が存在感を増すが、やや硬め。低減の量感は水準レベル。
J-POPS:
ちょっと丸く温かみがある表現だが、高音は出ている。パーカッションの刻みは弱い。あまり低域も分解せず、曖昧な音だ。
アニソン:
積極的な鳴り。でも分解はせず、(音源由来の)実在感は感じにくい。癖は少ないが、低域ばかり目立つ。



ツガ(栂)

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
音は篭り気味。強い個性はなく、音は平面的で奥行は感じにくい。
J-POPS:
曲のエネルギーを強く感じる。メインボーカルがクローズアップされるが、それが曲にマッチしている。音のクオリティはそれほど高くない。
アニソン:
音が前に出てくるのは心地よい。録音の悪さを上手くカバーし、太く描かれた音楽を楽しめる。



ナラ(ミズナラ)

~お気に入り度~ ★★★
クラシック:
落ち着いた柔らかい響き。音像は奥に定位し、ホール後列のような感じ。各パートの弦楽器の重なりが美しく、芸術的。
J-POPS:
重心は低く、落ち着きがある。説得力のある音で、感情が伝わってくる。
アニソン:
乾き気味の録音に対し補色と効いたようで好印象。派手さは無いが、ボーカルは表情豊か。



バーチ

→「カバ桜」の項目へ。

バーチ合板①(フィンランドバーチ)

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
合板特有の篭りは控えめだが、音色・音場は単調。音楽の抑揚は感じにくい。
J-POPS:
レンジが広く悪くない。合板由来の曇り感は若干あるが、気持ち悪いほどではない。ボーカルは力強いが、重心の高さが気になる。
アニソン:
サ行の強調感を感じるが、レンジは十分伸びている。混濁感があり、低音は軽め。



バーチ合板②(北海道産 樺合板)

~お気に入り度~ ★
クラシック:
-未評価-
J-POPS:
バランスは悪くないが、ボーカルにコシがない。レンジの狭さが影響しているのだろうか?
アニソン:
レンジは狭いが、ボーカルはくっきり。音像もしっかりしている。ただ、曇り感はぬぐえない。



バーチ合板③(ロシアンバーチ)

~お気に入り度~ ★
クラシック:
合板特有の篭りがある。音場は深く、低音も出る。高域がロールオフするためか、耳が疲れる。
J-POPS:
重い低音で、この曲では重ったるい感じがマイナスになった。分解能は水準。
アニソン:
低音に重量感があり、ピラミッドバランス。やや篭っているが、全体的には良好。音場の広がりも良い。



ヒノキ(檜、桧)

~お気に入り度~ ★★★★
クラシック:
演奏のテクニック、楽器パートの掛け合いが手に取るようにわかる。音楽の表現力が豊かだ。レンジの狭さはあまり感じず、音楽表現に集中できる。
J-POPS:
やや高音の粒立ちが弱く、レンジの狭さを感じる場面もある。一方で、低音の音階は非常に明確。ボーカルも情感たっぷりに歌う。
アニソン:
情報量が多いのに、柔らかい響き。チャーミングなボーカルが魅力的だ。やや低音が少ないが、ストリングスの表情は明確。



ブナ(ビーチ)

~お気に入り度~ ★★★
クラシック:
しっかりと鳴り、テンポは遅く感じる。深みがあり、バイオリンや木管楽器のリアルな表現が楽しめる。詰まり感がないが、やや硬さを感じることも。
J-POPS:
パーカッションの切れが良く、J-POPSとの相性は良好。ダイナミックで音数が多く、オーディオ的に優秀だ。やや音を殺す感じはあり、情感は少な目か。
アニソン:
しっかりと分解し、スッキリとした音。ピラミッドバランス系だが、密度感はやや不足気味。サ行が強く、アニソンとの相性は悪いか?



ブナ合板

~お気に入り度~ ★
クラシック:
ブナと同じ感じだが、音像は奥まる。やや消極的な感じだが、悪くははい。
J-POPS:
やや淡々としている。テンポが速く感じる。分解能は全域で水準。
アニソン:
「ブナ」から全体的に減点したような感じ。



ポプラ

~お気に入り度~ ★★
クラシック:
柔らかいハーモニーが印象的。ただし、解像度や伸びは感じられない。音が全体的に平坦。
J-POPS:
重心が高く、ぱさぱさ。パーカッションはサラッとした質感で、刻み感は不足気味。
アニソン:
音数が増えたように感じる積極的な鳴り。高域のサ行はキツイが、低域はダイナミック。



マツ (おそらく赤松)

~お気に入り度~ ★
クラシック:
中域以上の描写は見事。ハーモニーが美しい。逆に、低域はかなり量感不足で、高域楽器が目立つ。音像定位は普通。
J-POPS:
中高音のエネルギーがしっかりするが、情報量は少なく3人ぐらいで歌っているように聴こえる。低音は柔らかい。
アニソン:
バックコーラスが豊か。やや重心が高いが、元気に鳴る。



マホガニー(アフリカンマホガニー)

~お気に入り度~ ★★★★
クラシック:
ハッとする美しい存在感。音色の美しさ、弦の存在感には鳥肌が立つほどのすばらしさがある。低弦も含め、豊かな表現力だ。
J-POPS:
情報が多く、どの楽器も1ランク上の音色に聴こえる。ボーカルも、色彩感・実体感が豊かだ。低音はやや解像度が低いが、しっかり出る。
アニソン:
音全体が魅力的に、色彩感が豊かに聴こえる。一方で、着色感もあり、中域に木材由来の付帯音を感じてしまう。だた、悪い癖ではない。



メープル(ソフトメープル)

~お気に入り度~ ★★★★
クラシック:
音全体が抑えめで、落ち着く。個々の情報はしっかりと、彫の深さをもって聴かせる。主張しない良さは、聴き込むほど味わえる。
J-POPS:
全域で解像度が高く、優秀。粒立ちや音像が良い。ふっくらとした肉厚のボーカルだ。レンジも広く、自然ですんなり入ってくる。目立つタイプではない。
アニソン:
精度が高く、サ行が優しい響き。自然なレンジ感で、低音もしっかり出る。やや抑えめで上品な感じ。安心できる優等生といった感じか。



メープル(ハードメープル)

~お気に入り度~ ★★★
クラシック:
弦の質感と奥行き感が好ましい。しなやかさを感じさせ、クラシックとの相性は良さそうだ。
J-POPS:
声の描き分けがよく、姿が見えるような表現力がある。分解能は高く、エネルギー感もある。
アニソン:
情報が多く、きれいな音。一方で、空間に隙間を感じ、グルーヴ感は控えめ。



ラワン合板

~お気に入り度~ ★
クラシック:
腰高であり、かつナローレンジ。全体的に散漫な音で、つかみどころがない。
J-POPS:
ノッペリとした表情で、力感もない。
アニソン:
低音は量こそ出ているが、曇っていて見えない。バランスは悪くないが、中高域のヌケは今一つ。



レッドシダー

~お気に入り度~ ★★★
クラシック:
弦の存在感が前に出てくる。ただ、抑揚やテクニックは感じにくい。全体的には硬さが無くて好ましいが、低域はやや情報不足か。
J-POPS:
レンジは十分広く、澄んだ音。やや低音の説得力はなく曖昧。一方で、ボーカルは瑞々しい表現で、総合的にはJ-POPSとの相性は良好だ。
アニソン:
音がしっかり主張してくる。いやなサ行はないなかで、音がポーンと出てくるのはアニソン向きか。SNも良い。




 以上、29種類の紹介でした!

 先にも述べましたが、試聴結果は好みによって大きく変わることがあります。また、素材の特徴をどう生かすかがオーディオの本質であり、素材の音だけで再生音、ましてや機材の優劣が決まることはありません

 一方で、木材による音の違いは確実にあり、これを「自分の音を創る」一つの手段にすることは十分に可能かと思います。

 ぜひ皆さんも、奥深い木材探しの旅を楽しんでみてはいかがでしょうか?




  


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