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05. 2wayより3wayの方が高音質なのか?


 ~目次~
 ・どうしてスピーカーユニットが増えるのか
 ・クロスオーバーネットワーク、クロスオーバー周波数とは
 ・ミッドレンジの意味
 ・2wayのメリット
 ・2wayと3wayの比較試聴(入門スピーカー編)
 ・2wayと3wayの比較試聴(高級スピーカー編)
 ・こんな人には2way/3wayがお勧め
 ・意外な刺客 フルレンジ
 ・ひのきスピーカー工房「オーディフィル」としての考え



 スピーカーは、音の出る丸い部品「スピーカーユニット(ドライバー)」の数に応じて、フルレンジ(1つ)、2way(2つ)、3way(3つ)…と様々な方式に分類されます。高級スピーカーほど、搭載するスピーカーユニットの数が多い傾向にありますが、はたして実際はどうなのか考えてみます。

  


どうしてスピーカーユニットが増えるのか

 スピーカーユニットにはそれぞれ得意な音の高さがあります。大きなものは低音が得意(ウーハーと呼ばれます)。小さなものは高音が得意(ツイーターと呼ばれます)。

  

 高音は小さな振幅で機敏に動くことが求められます。そのため、高音の再生には、より軽い小さな口径のスピーカーユニットが有利になります。
 その一方で、低音は高音に比べて音の波長が長く、また一般的に大きな振幅を伴います。それゆえに、低音の再生には、大きな口径のスピーカーユニットで一度に沢山の空気を「ゆっさゆっさ」と動かすのが有利になります。


 


 以上のことから、高い音から低い音まで均一に再生するには、それぞれの音の高さ(帯域)が得意なユニットを複数組み合わせるのが良いということが考えられます。

    



クロスオーバーネットワーク、クロスオーバー周波数とは

 ツイーターとウーハーには、アンプからそのままの音(信号)が入る訳ではありません。スピーカーの中に存在するクロスオーバーネットワーク(以下、ネットワーク)と呼ばれる電子回路により、不要な帯域がカットされます。スピーカーユニットにとって不得意な帯域が入ると、音が歪んだりするため、こうしたネットワークによる調整が必要なのです。
 スピーカーには、アンプを外に接続することが必要な「パッシブスピーカー(主にホームオーディオ用)」と、アンプを内蔵する「アクティブスピーカー(主に録音モニター用)」があり、形態の違いはありますが、そのどちらでも2wayや3wayの製品にはクロスオーバーネットワークが入っています。

   
  (上)パッシブスピーカー、(下)アクティブスピーカー
  ※アクティブスピーカーの場合、クロスオーバーネットワークは、アンプに内蔵される事が多い


 クロスオーバー周波数は、ツイーターとウーハーの境目になる周波数のことです。例えば、クロスオーバー周波数が2kHzであれば、2kHzより高音側はツイーターが、2kHzより低音側はウーハーが主に担当することになります。


   



ミッドレンジの意味

 大抵のスピーカーは2wayで、それだけでも十分な音域を再生することができます。しかしながら、ウーハーとツイーターの間に、中音を担当するミッドレンジ(スコーカー)を入れた3wayスピーカーも存在します。
  


 ミッドレンジを入れるメリットとしては、
  ①ウーハーとツイーターの間をフォローできる 
  ②ウーハーの大振幅の影響を受けにくくなる 
  ③ボーカル帯域にクロスオーバー周波数が入らない 
  ④箱の定在波から逃れられる帯域を増やせる 
  ⑤設計の自由度が広がる 
 などでしょうか。

メリット① ウーハーとツイーターの間をフォローできる
 低音下限を広げようとしてより大きな口径のウーハーを搭載したとき、どうしてもツイーターの受け持つ帯域まで高域を出すのが難しくなることがあります。そうしたときに、中音を専門に担当するミッドレンジがあることで、無理せずに低音~高音までをシームレスにつなぐことができるメリットがあります。




メリット② ウーハーの大振幅の影響を受けにくくなる
 低音を受け持つウーハーは、音楽信号により絶えず大振幅をしています。前後に大きく動く振動板から、中音を出すと「ドップラー歪」という歪が起こってしまいます。ドップラー効果はご存知だと思いますが、これと同じように大きく揺れ動く振動板から他の音を出すと、その振動板の動きにより音色が変化してしまう現象が起こります。
 このドップラー歪を可能な限り抑えるため、低音をカットしたミッドレンジを搭載することで、より繊細な中音を表現できるようになります。

  


メリット③ ボーカル帯域にクロスオーバー周波数が入らない
 人間の耳は「特に2~3kHzの中音域の品質に敏感」だと言われます。一般的な2wayスピーカーでは、クロスオーバー周波数が2~3kHz付近に存在することが多く、その帯域ではウーハーとツイーターの二つの音源から音が出ることになります。
 二つの音が重なると、場合によっては再生波形に乱れが生じることがあり、忠実な音再生とは異なってしまうとが考えられます。そこで、ウーハーとツイーターの間にミッドレンジを配置することで、クロスオーバー周波数を敏感な帯域の上下に逃がし、聴感上の悪影響を抑えることができるとされています。

  


メリット④ 箱の定在波から逃れられる帯域を増やせる
 スピーカーの箱の中では、定在波と呼ばれる音の共鳴が少なからず発生しています。とくに、300Hz~2kHz付近に定在波が存在することが多く、スピーカーの箱の中では特定の帯域で大きな音圧のうねりが発生しています。箱と一体となって動作するウーハーはこの定在波の影響をもろに受けてしまいますが、ツイーターは別筐体に隔離されている(小さなカバーが裏面に付いている)ため、その影響を回避することができます。ミッドレンジもツイーターと同じように別筐体に格納することができるため、定在波が発生する帯域を可能な限りミッドレンジに任せることで、定在波による音質の悪影響を抑えることができます。

メリット⑤ 設計の自由度が広がる
 これは設計側の話ですが、3wayにすることで低音・中音・高音のそれぞれを独立して音量調整をすることができ、とても音作りがしやすくなります。2wayだと中音の音圧を上げたい...と思っても、なかなか簡単ではありませんが、3wayであればミッドレンジの調整だけでクリアできます。
もちろん、実際のスピーカー設計はこんなに簡単な話ではありませんが、3wayの方が調整に自由度があるのは確かです。
  



2wayのメリット

 こうして3wayには沢山のメリットがあることを説明しました。正直言うと、これらのメリットはどれも重要で、高級スピーカーの大半が3way、さらにはユニットが4つになった4wayなどを採用しています。
 しかしながら、現実では2wayにメリットがあることも多いのです。以下に説明をしていきます。

2wayのメリット①:音源位置が近い

 例えば、大きな3wayスピーカーを至近距離で聴くと、ツイーターのある上側から高音が聞こえ、ウーハーのある下側から低音が聞こえる、音がなんとなくボヤつく、という問題が発生することがあります。

      
 
 3wayスピーカーは原理的に2wayよりも大型になり、近距離で聴く場合、2wayスピーカーのほうがクッキリとした音で聴ける、ということもしばしば起こります。


2wayのメリット②:コストパフォーマンス

 ユニットが2つから3つに増えると、それだけ部品点数も増えます。つまり、もし同じ売価であれば、3wayより2wayの方が、部品一つ一つに高品位なものを使うことができるのです。

 

 さらに、現代の住宅事情では3wayより小型な2wayを求める人が多く、流通量も自ずと2wayの方が多いようです。そうした場合、2wayの方が量産効果でコストを下げることができ、さらには他社との価格競争に勝てるよう2wayスピーカーに勝負価格付けることもあるかもしれません。
 以上のように様々な理由が想像できますが、実際に大手メーカーの製品ラインナップを見ると、3wayスピーカーと同じ価格で、上位シリーズの2wayスピーカーが手に入る例も珍しくはありません。


2wayのメリット③:生活空間への馴染みのよさ

 最初の音源位置と近い話になりますが、2wayスピーカーは概してコンパクトに設計されるため、設置しても余り圧迫感を感じない視覚的なメリットがあります。オーディオマニアの専用ルームならともかく、リビングであれば大きなスピーカーを置くのは躊躇われますし、専用ルームであっても小さなスピーカーを導入し、スペースに余裕をもって楽しみたいという人は多くいらっしゃいます。

 例えば、32型の液晶テレビの両脇にスピーカーを設置するとしましょう。高さが1m近くある3wayのトールボーイ型の場合、やや圧迫感のある状態になりますが、2wayのブックシェルフ型であれば、低めの高さのスタンドと組み合わせて違和感なく収めることができるでしょう。






 今度は、部屋全体のイメージから考えてみます。6畳の部屋に新しくオーディオを設置する場合、既存の家具の都合も考慮するとスピーカー間隔は1mがギリギリという場合もあります。
 スピーカー間隔1mだと、3wayトールボーイ型の場合はちょっと狭苦しい感じになってしまうかもしれません。2wayのブックシェルフ型であれば、程よいコンパクトシステムを構築できるでしょう。
  



 次に、同じ6畳間でも、オーディオを前提に模様替えできるとすると、スピーカー間隔は1.5m程度確保することができると思います。
 この場合、3wayのトールボーイ型スピーカーであってもオーディオ専用ルームとして違和感の少ないセッティングが出来ると思いますし、2wayのブックシェルフ型スピーカーであっても上品な感じのシステムにまとめることが出来ると思います。ただ、トールボーイ型スピーカーといってもサイズは様々ですので、自分の感覚や生活スタイルと照らし合わせてサイズが適正かを考慮する必要があるでしょう。




 スピーカー間隔を2.0m確保しようとすると、8畳以上の空間が欲しくなります。6畳でも不可能ではないですが、スピーカーやリスナーが壁に極端に近い位置になってしまい、音響上好ましくありません。
 ここでは、LDKを想定したセッティング例を紹介します。50型前後の大型のテレビを中心に構え、その左右にスピーカーを並べれば、2.0mを上手く確保出来るのではないでしょうか。
 オーディオ専用空間であれば、3wayのトールボーイ型スピーカーが欲しくなってくる空間容量ですし、その存在感を生かしたオーディオ空間を作ることができるでしょう。一方で、集合住宅ゆえに音量の制約があるのであれば、2wayのブックシェルフ型スピーカーでスマートにシステム構築するのも一興です。




侮れない2wayスピーカー

 近年は、B&W社の「805d4」を筆頭に、ハイエンド2wayと呼べる製品が増えてきました。最高峰の大型スピーカーで開発された技術を搭載しつつも、サイズを抑えることで高音質を手軽に享受できます。昨今は一つ一つの部品の作り込み技術が向上し、とくに小音量・小空間再生では、2wayは制約よりメリットが勝るようになってきたといえるでしょう。
                   B&W 805d4



2wayと3wayの比較試聴(入門スピーカー編)

 実際に2wayと3wayのスピーカーを比較試聴してみたので、その感想を書きます。入門スピーカー編として、ペア2~3万円台の3機種を試聴しました。

メーカー名 JBL DALI SONY
製品名 Stage A130 SPEKTOR1 SS-CS5
写真
方式 2way 2way 3way
実売価格
(ペア)
約2.5万円 約2.7万円 約2.2万円
寸法(cm)
縦×横×奥
32.1×19.0×23.0 23.7×14.0×19.5 33.5×17.8×22.0
容積(L) 約14.0L 約6.5L 約13.1L


 JBL 「Stage A130」(2way)の試聴
   
 宇多田ヒカルの「Beautiful World」を聴くと、ワイドレンジでハリのある音が好印象です。各楽器のバランスがよく、JBL伝統のモニタースピーカーとして仕上げられていることが分かります。電子音源がメインのPOPSでは、帯域が広くフラットな特性をもつことがメリットにつながりやすいですね。ボーカルは多彩な表情が魅力。ワイドレンジでありながら淡泊にならないのは、老舗ならではのチューニングを感じます。
 一方で、ジャズの楽曲では音に深みが感じにくく今一つ。金管はもう少し濃厚さが欲しいところですが、シンバルはパシッと爽快に決まります。「JBLはジャズ向き」というのが定説ですが、この「Stage A130」は新しい世代のJBLだと考えたほうが良いかもしれません。
 小編成のクラシックは音に若干のクセが感じられましたが、表情は豊か。この価格帯でありながら、巧みに弦楽器の質感を引き出せていると思います。

 総論:フラット基調で、ワイドレンジ。POPSが気持ちい。


 DALI SPEKTOR1(2way)の試聴
    
 今回の試聴の中では、最も小さいスピーカーです。宇多田ヒカルを聴くと、ギュッと一音一音の密度の濃い音が定位する様子が印象的でした。小型のスピーカーは、同じ構造でも強度が稼ぎやすく、それが音の印象に繋がっているものと思われます。低音こそサイズなりで他の2機種に及びませんが、サブウーハーを追加すれば一気にワイドレンジなシステムに変化することでしょう。
 ジャズの金管は、やや萎みがちの表情でした。サラリと鳴るツイーターの個性が強く出てしまった結果ですが、シンバルワークは自然で好印象です。
 クラシックは、艶やかな弦が印象的。笛の表情もしっかりと描き、高級オーディオの片鱗を感じさせる音作りを堪能することができました。
 
 総論:密度の高い音と、艶やかな弦がポイント。クラシックもしっかり鳴らす。


 SONY SS-CS5(3way)の試聴
   
 いよいよ3wayスピーカーの登場です。宇多田ヒカルの曲は、高域は柔らかく自然な表情で聴かせます。鮮明な打ち込み音源らしさを期待すると肩透かしを食らいますが、高域が柔らかいのは20kHzを超える超高音域がしっかり再生されていることの証です。ボーカルは、やや中低域に膨らみを感じましたが、濃いめのボーカルが聴けると考えれば、個性といえる範囲でしょう。
 ジャズは、その中低域の膨らみが濃厚さにつながり、雰囲気満点。高域まで丁寧な描写がなされ、奏者の表現力を感じることができる音になっていました。
 クラシックの弦は、素直に伸びた高音域の恩恵を受けやすい楽器の一つです。ただ、若干ぼんやりとした高音でもあり、一音一音の弦の響きは先のDALIに一歩譲る感じでした。

 総論:柔らかい高音と濃厚な中音。ジャズを雰囲気たっぷりに鳴らす。



 【結論】2wayか、3wayか。(入門スピーカー編)
 3機種の試聴を終えて、まず最初に感じたのは方式の違いより、個々の音作りの違いの方が大きいという点です。
 ただ、3wayの「SONY SS-CS5」では、メリットとされるワイドレンジな表現にもとづく、柔らかな高域表現が感じられたのも確かな点です。本ページでの説明では、3wayは低音が伸びるとして説明しましたが、ハイレゾ音源へのニーズを汲み取った形で高域に重点を置いて設計されたものと思われます。
 その一方で、一つ一つのユニットからの出音は2wayに分があったのも事実です。特に、今回試聴した2wayの二機種から、中高域がぼんやりとせずリアルな粒立ち感を聴くことができたのは、シンプルな構成ゆえの良さを生かしたものだったと思われます。

 結論としては、実売価格がペア2万円前後の入門スピーカーの価格帯では、2wayと3wayはほぼ互角であるということです。2wayだからどう、3wayだから…という議論より、まずはそのスピーカーの個性を把握することが選択の指標になりそうです。
 この価格帯のスピーカーは、全てのオーディオ的な評価項目を満遍なくクリアすることは難しいので、自分の音の好みや聴くジャンルにマッチしたスピーカー選択をすることで、高い満足度を手に入れることができるでしょう。



2wayと3wayの比較試聴(高級スピーカー編)

 次に、高級スピーカーではどうでしょうか。ここでは、実売価格25万円(ペア)の高級スピーカーでの試聴を行いました。先の入門スピーカーとは異なり、メーカーは比較的余裕をもって設計をすることができる価格帯です。

 ここでは、高級スピーカーで存在感のあるB&W社の3モデルを比較試聴します。
 最も安価な2way「606 S2 Anniversary Edition」。16.5cm口径のウーハーを1つ搭載しており、実売価格はペアで約11万円。B&Wなかでは比較的入手しやすいスピーカーです。
 そして兄弟機にあたる3wayの「603 S2 Anniversary Edition」。16.5cm口径のウーハー2発と15.0cm口径のミッドレンジを搭載している現代的な3wayの構成です。価格はペアで約27万円ですが、ミッドレンジは上位機種を彷彿させる構造になっており、その性能に期待です。
 3つめの「706 S2」は、2way構成の上位モデルです。価格は603より若干安い約22万円ですが、別売スタンドを含めれば603とほぼ同額といえるでしょう。706の寸法や構成は606と酷似しており、ウーハー口径も同じ16.5cmです。上位の2wayスピーカーのパフォーマンスが、3wayと比べてどうなのか注目です。

メーカー名 B&W B&W B&W
製品名 606 S2 AE 603 S2 AE 706 S2
写真
方式 2way 3way 2way
実売価格
(ペア)
約11万円 約27万円 約22万円
寸法(cm)
縦×横×奥
34.5×19.0×30.0 98.5×19.0×34.0 34.0×20.0×28.5
容積(L) 約20L 約63L 約19L

 まずは、2wayの「606 S2 Anniversary Edition」から試聴。聴きやすいバランスで、人気機種であることがうなずけます。宇多田ヒカルのボーカルが前に出てきて、スムーズに耳に入ってくる感覚があります。先の入門価格帯(ペア2万円前後)のスピーカーとは異なり、全体域の音がしっかりとコントロールされ、様々なジャンルの音楽をそつなくこなす能力があると感じました。
 低音はサイズなりの量感といえますが、飽和するようなことがないため、低音が籠りやすい鉄筋コンクリート造りのマンションでも使いやすいスピーカーといえそうです。

 次に、3wayの「603 S2 Anniversary Edition」。宇多田ヒカルの「Beautiful World」を聴くと、圧倒的な低音に驚かされます。ドラムの風圧、さらにその下をいくエレクトリックベースの地を這うような存在感を感じることができました。この40~50Hz付近の再現性は、ブックシェルフ型2wayの606では到底太刀打ちできない領域です。
 一方で、この603の中高音の質感は、606に近いものを感じました。603でのミッドレンジの効能は、チューニングを下げたウーハーとツイーターの間をつなぐためにあると考えた方が良さそうです。

 そして、最後は上位の2way「706 S2」を試聴します。曲は同じ宇多田ヒカルとジャズを聴きましたが、楽器の質感が先の2機種と比べると別次元です。ドラムのノリ、ボーカルの表現力、金管の厚みは、上位機種の貫禄すら感じます。
 低音は、3wayの603のような圧倒的パワーはないものの、決めるべきところはしっかりと再生し、その質感は豊か。ジャズのウッドベースは音階が明瞭で、ゾクッとするような旨味のある低音を聴かせてくれます。最低音域のレンジは603に一歩及ばず、深みのある低音表現には限界がありますが、低音が籠りやすい鉄筋コンクリート造りのマンションであれば、低音の質感を重視する706の方が好結果が得られるでしょう。ちなみに、同じブックシェルフ型2wayの606ではやや腰高な表現になることもありましたが、この706では3wayと互角に渡り合える帯域バランスを維持していました。


 【結論】2wayか、3wayか。(高級スピーカー編)
 感覚的には、楽器の質感が重要になるアコースティックな音源であれば、2wayに大きなメリットがあると思われます。706と603の比較では、同じ価格帯と言えど、上位シリーズとしての作り込みがなされた2wayの706に魅力を感じました。また、気密性の高い部屋では、トールボーイ型の低音量感を持て余してしまう(ダボついた低音になる)ことが予測され、質感豊かな低音を再生できる2wayの706が優位に立てるでしょう。
 一方で、3wayの603が強かったのは、電子音楽のワイドレンジな表現。質感こそ706に及びませんでしたが、高音から超低音まで明確に再現されるのは、音楽を隅から隅まで堪能できる魅力に溢れたものでした。





こんな人には2wayがお勧め

・上級機種顔負けの質感のある音で聴きたい
・精緻さのある音を求めたい
・部屋が狭く、スピーカーから2m以内で聴く
・生活空間に調和するオーディオを構築したい

こんな人には3wayがお勧め

・しっかりとした低音を感じたい
・音の雄大さ・ダイナミックさを求めたい
・部屋が広く、スピーカーから2m以上離れて聴くことができる
・オーディオ機器としての存在感・魅力を感じるスピーカーが欲しい



意外な刺客 フルレンジ

 今回は2wyと3wayの比較でしたが、実はスピーカーユニットが一つだけの「フルレンジ」も根強いファンが多くいます。かつては、HiFiとは言い難い方式でしたが、これも部品(とくに素材)の進化で、フルレンジとは思えない広帯域・低歪再生が可能なスピーカーが多く誕生しています。さらには、フルレンジはネットワークを完全に取り去り、アンプ直結にできることから、より時間軸方向の再現性が高いというメリットがあることも注目されています。
 市販スピーカーの中では、富士通テン社の「エクリプスTDシリーズ」が有名ですが、ネットワークが無く簡単に作れることから自作スピーカーには非常に多くの製品が存在しています。フォステクス社は、長年フルレンジユニットを部品としてアマチュアに提供しており、たとえば「FE103NV」などの定評のある製品を数多くラインナップしています。

                  ECLIPSE TD307MK3


まとめ

 3wayは多くの理由で高音質に近づける方式ではありますが、2wayにも多くの魅力があることを説明しました。試聴して選ぶことが違いを理解する一番の方法ですが、そうでなくても特色を理解することでより良い製品選びができるようになると思います!



ひのきスピーカー工房「オーディフィル」としての考え

 オーディフィルの最高峰モデル「ひのきスピーカー SOLA Mk2」は、小型の2wayスピーカーです。日本の住宅環境を考慮した場合、2wayの優位性が高いと思っています。SOLA Mk2のウーハー口径は12cmと小ぶりですが、40Hz以下の深く沈み込む低音まで再生できる能力を持たせています。

   ひのきスピーカー「SOLA Mk2」


 さらに低音が必要な場合は、サブウーハーを組み合わせて、3way化するという手段があります。スピーカーを変えることなく、3wayスピーカーと同等以上の低音再生能力を得ることができます。
 最大音量こそ大型の3wayスピーカーに及びませんが、一般的な家庭環境で20Hz付近の超低音域までカバーするシステムとしては最適な選択肢だと考えています。

   
   ブックシェルフ型スピーカーとサブウーハー「SW-1」の組み合わせ






評論/情報技術ノート > 05. 2wayより3wayの方が高音質なのか?

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